人的資本経営

人を活かし企業価値を向上させる
「人的資本経営時代」へ

市場は企業価値の持続的成長を重視

 2020年9月に経済産業省が公表した「人材版伊藤レポート」を皮切りに、人的資本経営への注目が高まっています。
 金融庁は大手企業4,000社に対し、2023年3月期決算以降の有価証券報告書に人的資本情報を開示することを課しました。
 人的資本経営とは、人材を「コスト」ではなく「資本(価値を生み出す源泉)」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、将来に向けて持続的な企業価値向上につなげる経営の在り方です。
 現代の経営環境は、デジタル技術の急激な進展に代表されるように、不確実で非連続的な変化に絶えず晒されており、このような状況において、市場や投資家は、過去の実績に基づいた企業価値ではなく、将来の稼ぐ力を含めた企業価値の持続的成長を重視するようになってきています。

欧米に比べ、日本の人財への投資は不十分

 欧米を中心とする先進各国では、GDPや時価総額に占める無形資産の割合が極めて高く、特に人財資本への戦略的な投資による将来的な企業価値向上取組は、重要な経営課題として捉えられています。
 日本においては慢性的な労働力不足が深刻化する中、企業による人材投資は欧米諸国と比較してきわめて低い水準にあり、人財の確保・育成に対する危機感が高まる中で、企業はまだ十分な打ち手を講じることができていないのが実態です。

B&DXが考える「人的資本経営」とは

■単なる人的資本「指標」の開示に留まる日本企業が多い

 多くの企業が陥りがちな落とし穴として、持続的な企業価値向上や経営戦略とは関係なく、人的資本に関する数字を同業他社よりも良く見せるための単なる「情報開示対応」に留まってしまうというものがあります。

 数値で測れる指標の開示の羅列では、その指標の変動が企業戦略や持続的な企業価値向上にどう結びつくのかというストーリーや指標の持つ重要性が見えないため、結果的に市場や投資家から見透かされてしまい、評価は得られません。

■人的資本経営の本質とは、人財の行動を変革し「組織文化そのものを変革」すること

 「人的資本経営」においては、企業にとって重要な競争力の源泉であり最大の無形資産である人財の価値を最大限に引き出し、持続的な企業価値向上にどの様につなげていくか、という企業の経営姿勢が問われています。
 実現のためには、自社が実現したい将来の姿と経営戦略そのものを明確に描くこと、そしてその戦略を実現するために必要な人財を定義し、そのような人財を創出するための仕組みと実現ステップを明確に描くことが重要なポイントとなります。それによって、人財の行動を変革し、組織文化そのものの変革につなげることが求められています。

先進企業は戦略との連動を志向している

 B&DXにて、 「人材版伊藤レポート」及び経済産業省の「人的資本経営コンソーシアム好事例集」で取り上げられている企業を定点観測した結果、2022年から2023年にかけて、経営戦略との連動性を重視した開示を実施している企業は増加しており、今後ますますこの傾向は高まると予想されます。

本来の「人的資本経営」を実現するためには

本来の「人的資本経営」を実現するには、2つの重要なポイントがあります。

第一に、経営戦略・時代背景・パーパスをもとに「あるべき人財像」を策定することです。日本企業は、人財を保有スキル中心にとらえがちですが、「あるべき人財像」には、スキルだけではなく、多様な経験等により培われる人間力やマインドも含まれることに留意すべきです。

第二に、あるべき人財像を創出するために、「意識改革(心)」 、 「制度改革(技) 」 、 「行動改革(体) 」 三身一体での改革を推進することです。永年にわたる組織の習慣を変え、文化を変革するのは容易ではなく、どの要素が欠けても人財Ⅹの成果は得られないのです。

意識改革
 企業トップから自社のパーパスや戦略についてメッセージを発信し、従業員がパーパスや戦略を自分事化できるようにすることが肝要です。また、発信して終わりではなく、対話を繰り返し、自社のパーパスと従業員のミッション・役割との重なりを見出すことで、従業員に行動意欲をもたせることも大切です。

制度改革
 企業のパーパス・経営戦略と人事制度(縦軸)が連動しているか、それぞれの人事制度(横軸)が連動しているかを検討して、人事制度を定めていく必要があります。個別の人事制度のみを調整したとしても暫定的な対応に終わり、効果は薄いでしょう。なぜなら、企業のパーパス・経営戦略があって初めて、それに合致する人事制度があるためです。パーパスや経営戦略から人財マネジメント方針を策定し、それに紐づく人事制度を構築していく必要があります。

行動改革
 自社のパーパスや戦略を発信し人事制度を変えるだけでは、過去の習慣が根付いているため行動が伴わないません。従業員の日々の行動を変えるためには仕組みづくりが必要です。特に、日本企業においては、せざるを得ない状況を作り出し行動変革を促すことが肝要です。

B&DXのサービス

B&DXは、あらゆる角度から貴社の人的資本経営をご支援いたします。

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書籍

  • 『人財トランスフォーメーション 日本企業の未来を変える意識・制度・行動の変革』
    『メンバーシップ型』でも『ジョブ型』でもない、2つを超越した人的資本経営の姿がここにある

    著者:安部 慶喜   (B&DX株式会社 代表取締役社長)、柳 剛洋      (B&DX株式会社 取締役)、
    金弘 潤一郎(B&DX株式会社 取締役)
  • 書籍のご購入はこちら
    https://www.amazon.co.jp/dp/4296201484(Amazon)

対談記事(ダイヤモンドクォータリー)

講演動画

  • 企業変革を実現する人財トランスフォーメーションとは
    (日経クロステック主催『SX/DX/GX Summit 2023』)
  • 企業変革を実現する人財トランスフォーメーションとは従業員のエンゲージメントを高め、成長意欲を引き出す人財トランスフォーメーションとは? ~意識改革・制度改革・仕組化のトライアングル~
    (日経ビジネス・日経ビジネススクール主催『日経ビジネスLIVE 2022 winter ~人と組織がともに成長するイノベーティブな社会のために~』)

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